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ハレクラニ 沖縄に開業 ハワイの老舗が続々と日本へ

「 カハラホテル横浜開業」に続いて

 

 ハワイの老舗ホテルが日本に相次いでやってきます。カハラホテルが横浜にできるというニュースに驚かされ、それからわずか4日後、今度はハレクラニが沖縄に進出するというニュースが飛び込んできました。発表は2017年10月20日です。ハワイ好きの人はみんな、びっくり仰天という感じではないでしょうか。 

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ハレクラニの中庭。芝がきれいに整えられています。

 ハレクラニといえば、ワイキキビーチに面して建つ由緒あるホテルです。ハワイ語で「天国にふさわしい館」というその名前は、誇張ではなく、周囲にあるホテルとは違う独特の高級感を漂わせています。開業は1907年。築き上げてきた歴史の重み、ラグジュアリーホテルとしての地位の高さは、オアフ島にあってトップクラスです。

 

 そのハレクラニが沖縄に進出するというのです。どうしたって期待が高まります。

 

三井不動産の二刀流戦略

 

 事業主体は三井不動産です。

 

 なぜ三井不動産かというと、ハレクラニを運営している会社「ハレクラニ・コーポレーション」が三井不動産が100%出資する子会社だからです。ちなみに、ハレクラニ・コーポレーションはハレクラニのほか、ワイキキパークホテルも運営しています。

 

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ハレクラニの外観

 ハレクラニ・コーポレーションの設立は1980年(ウィキペディアには1981年と書いてありますが、さまざまな英語のホームページで調べてみたところ、1980年が正しいようです)。全面改修して再び開業したのが1984年のことです。三井不動産は30年以上にわたってハレクラニの運営に携わり、今回初めて、ハワイからの海外進出を決めたのです。

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ハレクラニのロビー

 三井不動産はホテル事業を行うにあたって、二つの関わり方を持っているのが特徴的です。

 

 一つは、直轄の子会社を通して運営する形態です。ハレクラニ・コーポレーションと同じように、三井不動産が100%出資する子会社として三井不動産ホテルマネジメントという会社があります。こちらは、三井ガーデンホテルズセレスティンホテルといった自前のブランドホテルのほか、ヤマハリゾートから買収した鳥羽国際ホテル、ネムリゾート(合歓の郷)などの運営にも携わっています。 

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ハレクラニのプール

 もう一つが、ホテルの建物を所有して、運営を第三者に委ねるパターンです。

 

 2005年に開業したマンダリン・オリエンタル東京は、三井不動産が再開発で建てた日本橋三井タワーに入居しています。香港に拠点を置くマンダリン・オリエンタルを日本に初めて誘致したのが、三井不動産なのです。

 

 ほかに、合歓の郷では、温泉を備えたリゾートとして新しいホテル棟を建設し、運営を東南アジアを中心に高級リゾートを展開するアマンに委託。アマンとネムをかけて「アマネム」と名付け、2016年3月に開業しています。

 

 さらに、三井不動産千代田区大手町に建設中のビルに、都内で2軒目となるフォーシーズンズを誘致し、2020年春に開業することを発表しています。

 

 このように、三井不動産は自前で行うホテル事業と、運営を任せるホテル事業の二刀流であることが分かるかと思います。

 

全室オーシャンビューのすごさ

 

 ハレクラニ沖縄はどのようなホテルになるのでしょうか。

 

 琉球新報によると、建設場所は沖縄本島中部の恩納村で、オープンは2019年の夏、客室数は360。ホテルの敷地に面した1.7キロの長い海岸線を生かすような形で建物を建て、客室のすべてが海に面しているそうです。この全室オーシャンビューが最大のウリになると思われます。小さな宿泊施設ならいざ知らず、360室規模で全ての部屋から海を望めるというリゾートホテルは世の中、それほど多くはないでしょう。

 

 現在沖縄にある最も高級なホテルといえば、名護市にあるザ・リッツ・カールトン沖縄ではないかと思います。恩納村と名護市は隣り合う自治体で、ハレクラニの建設予定地はリッツ沖縄と直線距離でわずか1.7キロしか離れていません。両ホテルが地理的、客層的にライバル関係となるのは必至です。また、ハレクラニ沖縄の建設予定地から直線で2キロの場所には、ザ・ブセナテラスという沖縄で屈指の大型高級リゾートがあります。この近辺がハレクラニ沖縄の開業によって、高級リゾートの激戦区になるのは間違いなさそうです。

 

リッツ・カールトン沖縄から引き抜き

 

 ハレクラニとリッツの関係で面白いのは、ハレクラニ沖縄の初代総支配人となることが決まっている吉江潤氏が現在、ザ・リッツ・カールトン沖縄の総支配人であるということです。吉江氏はプリンスホテルを振り出しに、パークハイアットやマンダリン・オリエンタル東京、リッツ・カールトン東京など多くの高級ホテルで要職を務めてきた敏腕のホテリエだそうで、その人物がリッツ・カールトン沖縄からハレクラニ沖縄に移るのです。

 

 これはなかなか強烈なヘッドハンティングではないでしょうか。ラグジュアリーホテルが多くある東京ならともかくとして、沖縄には限られた数しかありません。トップの移籍が持つ重みが全く違います。吉江氏はリッツ・カールトン沖縄の強みも課題も全て知り尽くした上で、目と鼻の先にできるハレクラニ沖縄に移るのです。吉江氏を引き抜いた三井不動産の本気、執念を感じます。

 

 トップを失うことになったリッツですが、世界屈指のブランド力を持っていることに変わりはありません。日本人にとってハレクラニは一流のブランドネームですが、世界的に見れば、リッツの方が知名度は断然上です。ハワイを訪れたことがなくハレクラニというホテル名になじみのない外国人は、リッツにより親近感を覚えるでしょう。

 ただ、弱点もあります。リッツは名護市の海沿いから1キロほど離れた内陸部に位置しており、プライベートビーチまでかなりの距離があります。ビーチとプールを一体で楽しめるリゾートではありません。対して、ハレクラニは海沿いに全室オーシャンビューで建設されます。この点は、リッツに対して大きなアドバンテージになると思われます。

 

 沖縄には、フォーシーズンズも進出するという話が出ています。こちらはマレーシア系の複合企業ベルジャヤ・コーポレーションが建設し、運営をフォーシーズンズに委ねるということです。2016年11月29日に発表になっていますが、その後、開業時期や場所など、具体性のあるニュースは出ていません。きちんと進展しているのでしょうか。ちなみに、ベルジャヤ・コーポレーションは、フォーシーズンズ京都を建設した会社でもあります。

 

帝国ホテルとの提携強みに

 

 高級ホテルの運営に関して、三井不動産には強みがあります。それは帝国ホテルとの関係です。三井不動産は帝国ホテルの株を33.2%所有する筆頭株主で、そのことを背景に、帝国ホテルとハレクラニは業務提携しています。帝国ホテルでは、ハレクラニの宿泊予約を受け付けているほか、ハレクラニの飲食を提供する「ハレクラニフェア」を定期的に開催するなど、その関係はとても深いものがあります。

 

 沖縄でハレクラニを開業するにあたり、三井不動産が帝国ホテルとの提携関係を何らかの形で活用するのは間違いないでしょう。それは他のホテルにない強みになると思います。

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ハレクラニのレストラン「ハウス・ウィズアウト・ア・キー」

 日本政府の予想を上回る形で推移している訪日客の増加が、こうした高級ホテルの相次ぐ進出に影響しているのは間違いありません。東京五輪までその風は続くでしょう。しかし、五輪が終わった後も、維持していけるのか。はたまた数字を伸ばしていけるのか。せっかくできた高級ホテルが訪日客の減少によって過当競争で倒れてしまわないか。懸念は残ります。国を挙げた観光施策がより重要になってきそうです。

 

以下はカハラホテル横浜の記事と、ハワイ旅行記に関する記事です。