ザ・リッツ・カールトン京都 アフタヌーンティー ピエール・エルメに魅せられて
鴨川畔 静かにたたずむ
ザ・リッツ・カールトン京都へ、アフタヌーンティーに出かけます。
リッツ京都は鴨川を望む京都市中京区にあります。最寄駅は京都市営地下鉄・東西線の京都市役所前で、駅から徒歩3分ほど。藤田観光が運営するホテルフジタ京都がかつて建っていた土地です。ホテルフジタ京都は2011年に営業を終え、藤田観光は土地と建物を積水ハウスに売却。積水ハウスは新たなホテルを建てて、運営をリッツに委ねることになりました。開業は2014年2月です。
駅の周辺には、ホテルオークラ京都のほか、日本屈指の高級旅館でスティーブ・ジョブズの定宿だったとされる俵屋旅館もあります。また、織田信長で有名な本能寺は、駅からすぐの場所です。
リッツ京都の東側を流れる鴨川。前日に降った大雨で増水して濁っています。
入り口はスロープになっていて、脇を水が流れています。
人力車が入り口に用意されています。外国人観光客が喜びそうです。
スロープから見たリッツ京都の外観。丸印を付けた部分が、アフタヌーンティーを提供するレストランの「ザ・ロビーラウンジ」です。
中に入ると、松の盆栽。和の趣きを演出しています。
中央が吹き抜けの階段になっていて、その両側にザ・ロビーラウンジや待合スペースなどが配されています。
待合スペース。
待合スペースには水のほか、キャンディーなどの菓子類も。
充実のピエール・エルメ ブティック
リッツ京都のアフタヌーンティーは、ピエール・エルメのパティスリー(ケーキ類)やチョコレートを出すことで有名です。そのピエール・エルメのパティスリーは、リッツ京都内のロビーフロアにあるブティックで売られています。
彩り豊かなパティスリー。
もちろんマカロンも扱っています。
ジャムやクッキー、ソルベ、アイスクリームなども販売しています。
いざ、ザ・ロビーラウンジへ
さて、ここからアフタヌーンティーです。ザ・ロビーラウンジの入り口には、アフタヌーンティーの3段トレーのほか、雑誌やパンフレットなどが置かれています。
ザ・ロビーラウンジには、ロビーフロアと店内を完全に遮るような壁がなく、とても明るく開放的な空間になっています。ちなみに、ザ・ロビーラウンジは、現在国内4カ所(東京、大阪、京都、沖縄)にあるリッツの全てで共通するレストラン・バーの名称です。
仕切りなどに木材が使ってあるものの、店内は全体的に洋風の趣き。京都だからといって、和を強調しているようには見えません。それは、リッツ京都のホテル全体にも言えることです。ただ、受け付けなどに着物を着た女性スタッフがいるのを見ると、京都らしい演出も少し心掛けられているのかなと思います。
ザ・ロビーラウンジには、テラス席もあります。水が流れ落ちる壁面がおしゃれな雰囲気を醸し出しています。敷地に沿って木々が植えられているので、ここから鴨川を望むことはできません。
アフタヌーンティーのメニューです。まずは食事から列記します。カッコ内はケーキ、料理の説明です。
セイボリー
・ フォアグラのパルフェ 金木犀のジュレとサワークリーム
・ たっぷりキノコとベーコンのオムレツのサンドイッチ
・ スパイス風味のキャロットラペとサーモンのサンドイッチ
・ オニオングラタン風キッシュ
以下はピエール・エルメのパティスリー
・ プレーンスコーン
・ アンフィニマロンスコーン
・ ジャム、クロテッドクリーム
・ 本日のマカロン
・ イスパハン
(マカロンローズ ローズ風味クリーム フランボワ―ズライチ)
・ エモーション オマージュ
(洋梨のコンポート マロンポワレ ビスキュイ マロン風味シャンティクリーム)
・ シューオマージュ
(シュー洋梨のコンポート 洋梨 マロンのシャンティクリーム マロンのクリーム マロンパウダー入りサブレブルトン)
・ タルト アンフィニマン シトロン
(レモンのクリーム レモンコンフィ フレッシュレモン タルト)
・ タルト オ ポティロン
(タルト パンプキンのクリーム パンプキンシードのチュイール パンプキンシード アーモンド)
ここから紅茶のメニューです。
クラシックティーのメニュー。
もちろんフレーバーティーもあります。
コーヒー、エスプレッソなどのメニュー。
シャンパンやワインも充実の品ぞろえ。
スコッチウィスキーやコニャックもあります。
紅茶のポットが運ばれてきました。リッツ京都のアフタヌーンティーは、何種類でも飲めるシステムではありません。紅茶とコーヒー類をそれぞれ1人1種類選びます。席に座っていられる時間は2時間です。
ポットはティーウォーマーに乗せられるので、冷めません。適度な温度をずっと保つことができます。
カップや皿は、フランスのジャン・ルイ・コケが使われています。マットな表面は手触りがよく、シンプルながら細かな装飾が入った器は、とても美しいです。
われわれが注文した紅茶は、ペルシャネクターとテ イスパハン。リッツ京都はどこの茶葉を使っているのか、メニューに記載がなかったので分かりませんが、どちらも高貴な香りで、おいしい紅茶でした。
メニューに書かれていない品も
さて、セイボリーの皿が運ばれてきました。7時の方向から時計回りに、たっぷりキノコとベーコンのオムレツのサンドイッチ、フォアグラのパルフェ 金木犀のジュレとサワークリーム、スパイス風味のキャロットラペとサーモンのサンドイッチ、そして5時の方向にある1品は、メニューに書かれていません。薄くスライスされたリンゴが甘いパイ風の料理です。残る1品、真ん中に置かれているのは、オニオングラタン風キッシュです。
サンドイッチ2品とオニオングラタン風キッシュをアップで見ると、このような感じです。サーモンのサンドイッチの上にはキャビアが乗っています。いずれのサンドイッチの具材も手が込んでおり、未体験のおいしさでした。
パティスリーとスコーンは3段トレーに乗ってきます。下2段は同じ物です。
2種類のスコーン。しっとり系で、粉になって落ちないタイプです。
パティスリーの拡大写真。手前右手から時計回りに、タルト アンフィニマン シトロン、タルト オ ポティロン、シューオマージュ、そしてピエール・エルメの代表作といわれるイスパハン。いずれも、ブティックで販売されているものと味は同じですが、アフタヌーンティー用に小ぶりに作られています。
個人的には、酸味がきいたタルト アンフィニマン シトロンと、マロンのクリームをたっぷり満たしたシューオマージュがおいしかったです。イスパハンの上に乗っている赤い花びらは食用なので、食べることができます。
最後の一皿、ガラス容器に入っているものが、エモーション オマージュ。マカロンは日替わりのようですが、この日は、コーヒー風味のカフェ ブレジル。メニューに書かれていないビターチョコとミルクチョコが1枚ずつ付いてきます。
紅茶以外の飲み物を、最後の一皿と同時に持ってきてもらいました。まずは、ピエール・エルメ ホットチョコレート。甘みが口の中いっぱいに広がり、カカオの深い味がほどよく残ります。
もう1杯は、抹茶ラテ。抹茶の風味をきっちり残しながらも濃厚すぎず、バランスがいい味わいです。
ピエール・エルメの功罪
ごちそうさまでした。リッツ京都のアフタヌーンティー、堪能しました。ここのアフタヌーンティーは、ピエール・エルメの存在に尽きます。世界屈指のパティシエのスイーツは、深く洗練された味で、見た目も華やかです。小さくアレンジされたパティスリーを一度に何種類も味わうことができ、スイーツ好きの人は至福の時間を味わえるでしょう。加えて、セイボリーも質が高くて美味でした。スタッフの気配りは細部まで行き届いており、とても訓練されている印象です。個人的には、リッツ・カールトン東京のアフタヌーンティーより、こちらの方が全体的に良かったです。
一方でこうも言えます。ピエール・エルメは、リッツ京都を含めて日本国内に15のブティックを有しています。所在地は東京、神奈川、愛知、京都、兵庫の5都府県。何もリッツ京都でアフタヌーンティーという体裁を取らなくても、その芳醇なスイーツを味わうことはできるのです。
その意味で、ピエール・エルメが好きで、何度もそのスイーツを味わっている人からすると、リッツ京都のアフタヌーンティーでは驚きと感動が得られにくい気がします。
また、近年増加している外国人観光客からしてみれば、リッツ・カールトンという米国ブランドのホテルであっても、京都らしさを少しは感じたいと思うかもしれません。しかし、リッツ京都はアフタヌーンティーしかり、その内装しかり、京都らしさを打ち出すことにあまり重きを置いていないように見受けられます。その点で、物足りなさを覚える観光客がいてもおかしくないでしょう。
世界の最高峰ブランドとしてライバル関係にあるフォーシーズンズ京都は、積翠園という美しい日本庭園を核に京都らしさをアピールしており、リッツ京都と対照的に映ります。どちらがいいというわけではありません。それぞれがきっちり方向性を定めて、運営されているように感じます。
京都のラグジュアリーホテルでアフタヌーンティーを楽しむなら、一体自分は何に重きを置きたいのか。そのことを考えて選ぶといいかもしれません。
以下は、フォーシーズンズ京都、フォーシーズンズ丸の内、ザ・リッツ・カールトン東京、ザ・リッツ・カールトン沖縄のアフタヌーンティーなどの記事。