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TWG Tea 自由が丘 アフタヌーンティー 急成長を遂げた世界的ブランドの秘密

2007年 シンガポールで創業

 TWG Tea 自由が丘にアフタヌーンティーに出かけます。

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 TWGはシンガポールが発祥の地で、創業は2007年です。2008年としているサイトが多く見られますが、調べた限りにおいて、これは1号店がオープンした年。創業に関しては、それより1年早いです。

 

 TWGというブランド名は、「The Wellness Group」という事業グループ名に由来します。「The Wellbeing Group」と記載している英語版Wikipedia等のサイトがありますが、Forbesやシンガポール紙のThe Straits Times等は「Wellness」と表記しており、ソースの信用度から言って「Wellness」が正しいと思います。

 

 まだ10年ほどしか歴史がない新しいブランドにもかかわらず、世界有数の高級紅茶ブランドとして知られています。

 

 TWGの店舗は2018年4月現在、日本国内には東京に4店、横浜に1店で計5店あります。その中で、紅茶を楽しみながら食事ができるティーサロンを併設しているのは、自由が丘店だけです。

 

 店は自由が丘駅の改札を出てすぐです。入ってみましょう。

 

 壁面には紅茶葉を入れた缶がびっしりと並べられています。TWGの店はどこもこのような感じでレイアウトされています。

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 購入した紅茶葉を入れておくための缶も売られています。ふたが隙間なくぴったりと本体にはまるため、茶葉の風味を極力損なうことなく保管できそうです。色のバリエーションも多く、選ぶ楽しみもあります。

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 ダークブラウンの棚と茶葉の黄色い缶の色味がうまくマッチし、シックな雰囲気を醸し出しています。

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 メニューを見て見ましょう。まずは表紙。

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  アフタヌーンティーのメニュー。

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 食べ物メニュー。これは開店から閉店まで通して注文できるオールデイダイニングです。スープやサラダ、メバルや合鴨の料理があります。

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 オールデイダイニングその2。キッシュやラザニアなどがあります。

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 こちらはディナー限定のメニュー。

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 ティーペストリーのメニュー。マカロンなどもここに記載されています。

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 デザート。

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 紅茶メニュー。目がちかちかするほど、びっしり書き込まれています。この裏面にも記載されており、店員さんによると、280種類あるそうです。さすがは紅茶専門店。ホテルのアフタヌーンティーだと、こういうわけにはいきません。

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 ちなみに、TWGの銀座店(東急プラザ銀座に入居)で茶葉を買ったことがあるのですが、そちらには418種類の茶葉があると聞きました。とんでもない数ですが、これは全体の一部。TWGブランドが全世界で扱う茶葉は、800種類に及ぶそうです。

 

 カップとシュガーポット。ここの食器類は全てTWGのオリジナルです。

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 フォーク、ナイフもオリジナル。

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 紅茶をそそぐと、このような感じに。

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アフタヌーンティーは午後2時から

 TWGのアフタヌーンティーは午後2時からの提供となります。席の事前予約はできません。満席の場合は、名前と連絡先を伝えれば店を離れることが可能で、空いたら電話で呼び出してもらえます。

 

 席に座っていられる時間に関して制限はありませんが、紅茶は飲み放題ではありません。茶葉1種類を選び、ポット1杯分のみ飲むことができます。ポット1杯は、カップおおよそ5~6杯分。ポット2杯目以降のおかわりは500円を払えば飲むことができます。

 

 アフタヌーンティーでは280種類ある紅茶のいずれもオーダーすることはできますが、800円を超える茶葉を選んだ場合は、その差額を払う必要があります。中には1,000円台、2,000円台の茶葉もあるので、好き放題に選ぶというわけにはいかないかもしれませんが、実際のところメニューで最も多い価格は800円ないし850円です。よって、差額に関しては、それほど気にすることはないでしょう。

 

 紅茶ポットももちろんTWGのオリジナル。陶器のポット本体を、ステンレスのカバーで覆ってあります。これは保温に役立つのはもちろんのこと、注ぎ口から垂れた紅茶をカバーが内側で受け止めてくれるので、テーブルを汚さない効果もあります。

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 地味ながらうれしい工夫が、ポット本体の色。白だった前の写真のポットと違って、こちらは黒です。2人で訪れて別の紅茶を注文した際、こうして色分けされていれば、どちらがどの茶葉だったか分からなくなることはありません。

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 ここからアフタヌーンティーの食事です。

 TWGのアフタヌーンティーには、「シック」と「セレブレイション」の2種類があります。基本構成は、いずれも
・紅茶1種類
・サラダ付きのサンドウィッチ1つ
・ケーキ1つ、もしくはスコーン等のペストリー2つ、のどちらか
となっています。


 シックとセレブレイションの違いはどこかと言うと、セレブレイションにはマカロンが3つ付いています。値段はシックが2,592円、セレブレイションが3,240円(いずれも税込み)。マカロン3つで648円という計算になります。

 

 ケーキは5種類あります。

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 さて、運ばれてきました。

 こちらはシックになります。上にケーキ、下にサンドウィッチが乗った2段トレーの形になっています。

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 ケーキのアップ。イチゴとベリーがどっさり乗っています。

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 サンドウィッチは、スモークサーモン、ローストビーフの2種類があり、どちらかを選びます。写真はスモークサーモンのサンドウィッチのアップ。表面がトーストしてあって、カリッとしています。皿の真ん中には、サンドウィッチで周りを囲うように、サラダが盛りつけてあります。

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 さて、マカロンありの セレブレイションは、このような感じで3段トレーになります。上の段にマカロン、真ん中にケーキ、下はサンドウィッチになっています。

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 マカロンのアップ。マカロンは、ブラックカラント、チョコレート、レモン、抹茶、ティラミス、プラリネの6種類があり、この中から3つを選ぶことになります。

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 ケーキのアップ。クリームブリュレのケーキで、「シンガポール・サプライズ」と名づけられています。断面の下の方を見てもらうと赤っぽくなっていますが、ここにベリーが練り込まれています。クリームブリュレの甘みとベリーの酸味、そしてふわりととろけるような食感のバランスが素晴らしく、とても完成度が高いです。TWGのケーキで人気ナンバーワンとのことですが、うなずける美味でした。

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 ローストビーフのサンドウィッチのアップ。こちらもトーストされています。見た目はスモークサーモンのサンドウィッチとそれほど変わりません。2層構造の上側にはトマトやキュウリを挟んだものが乗せられており、これは双方共通。サンドの下側がローストビーフかスモークサーモンかという点で違っています。

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 3段トレー、および店内の雰囲気。

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ケーキのクオリティーもExcellent

 

 ごちそうさまでした。TWGのアフタヌーンティー、満喫しました。

 

 紅茶の質は、あれこれ申す必要はないでしょう。素晴らしいのひと言で、何より店員さんのアドバイスがなければ選びきれないほど種類が多彩です。紅茶を主役にアフタヌーンティーを楽しみたいという人は、繰り返し通える店になると思います。

 

 TWGの紅茶は、個人的にはかつて、ザ・リッツ・カールトン沖縄のアフタヌーンティーでも味わいました。また、バリ島に旅行に行った際には、セントレジス・バリの客室のティーバッグがやはりTWGのものでした。こうした高級ホテルが採用しているところからみても、TWGの評価の高さが分かるかと思います。

 

 茶葉の質にとどまらず、ケーキやサンドウィッチも美味でした。中でも最も印象的だったのは、やはりシンガポール・サプライズ。その名の通り、驚くべき美しいハーモニーを伴った味わいでした。ここ、自由が丘でしか食せないのはもったいない。ぜひ、サロンを備えた店舗を1店でも広げていってもらえたらと思います。

 

 値段に関して言えば、マカロンが付いていないシックは税抜き2,400円。内訳は、紅茶が800円(追加料金を取られない上限)、ケーキが700円(5種類いずれも単品で注文した場合)なので、サラダとサンドウィッチは差し引き900円という計算になります。サンドウィッチのボリュームはなかなかのもので、これだけでも軽い昼食にできそうです。そう考えれば、2,400円という価格設定は妥当な気がします。

 

 セレブレイションに関して言えば、税抜き価格は3,000円です。マカロンは単品で買うと1つ250円。単純計算でシックにマカロン3つを付けると、2400円+750円で3150円となります。つまり、セレブレイションは150円分、お得ということです。こちらも良心的な価格と言っていいのではないでしょうか。

 

共同創業者たちのパリでの出会い

 

 TWGの創業は先に述べた通り、2007年です。伝統がものを言いそうな業界にあって、まだ10年程度の歴史しかないにもかかわらず、世界的な一流ブランドに急成長したという事実は、にわかには信じがたいものがあります。その背景を調べてみました。

 

 TWGの創業者は、インド系で香港生まれのManoj Murjani氏です。Murjani氏は、ブランディング事業を行っているMurjaniグループの創業家一族。MurjaniグループはMurjani氏の祖父が移住先の上海で立ち上げたアパレル企業からスタートし、1960年代からブランド構築事業に専念するようになりました。トミー・ヒルフィガーやグロリア・ヴァンダービルトを手掛けて、世界的なブランドに育てたことで知られています。

 

 グループ創業家の3代目に当たるMurjani氏は、Linked inによると、1983年に英国の名門パブリックスクール、ハーロー校に進学。その後、米国のペンシルベニア大に進み、卒業後は家業のMurjaniグループに入り、ニューヨークで働いていたようです。インド文化を発信するメディア会社を起業するなどした後、2003年に健康に関する事業を行うThe Wellness Groupをシンガポールで創設。そして、2007年にTWG Teaを立ち上げました。

 

 その経緯については、ForbesやシンガポールのAsiaOne等、さまざまなメディアで報じられています。それらの記事によると、Murjani氏は2004年、パリでの散歩中に、老舗の紅茶専門店マリアージュ フレールの「ディスプレイ」(外観なのか内観なのか分かりません)に魅せられ、店の責任者だったモロッコ系フランス人のTaha Bouqdib氏と知り合いました。この出会いがTWGができるきっかけとなりました。

 

 Bouqdib氏は幼少期、モロッコの中国大使館のそばにある家で育っています。中国の祝日に当たる日には、状況はよく分かりませんが茶を飲むことがあったといい、そのことから茶葉に興味を持ち始めたといいます。Bouqdib氏の父親や兄弟はモロッコの宮殿に勤めていますが、彼は「自分の運命は違う」と考え、パリのマリアージュ フレールで働く道を選びました。紅茶への情熱は強く、長期休暇の際には自費でインドや日本の茶畑を訪れて勉強を重ねたそうです。

 

 そんなBouqdib氏とMurjani氏は、出会ってすぐに意気投合し、絆を深めていきます。Murjani氏は「紅茶産業は存在しているものの、そのあり方は正しくない」と考えていたようで、Bouqdib氏に「革命的なことをやろう」と持ちかけて、2人で創業へのプランを練り始めました。

 

 2007年、Bouqdib氏は14年間勤めたマリアージュ フレールを去り、夫人とともにシンガポールへ移り住みます。パリでは周囲の人たちから「気は確かか。アジアでは茶は無料で飲めるんだぞ」と笑われたと言いますが、Bouqdib氏の決意は揺らぎませんでした。そして、同年9月、Murjani氏とBouqdib氏が共同創業者という形を取ってTWG Teaは誕生しました。

 

それって模倣? 戦略的なブランディング

 

 Bouqdib氏がさまざまなメディアに答えているところによると、起業当初から世界的なブランドを目指すビジョンがあったそうです。それを反映してか、Murjani氏がTWGの立ち上げにあたって投資した額は、1,000万USドル(1ドル110円で計算すると11億円)。かなりの元手でスタートを切ったことが分かるかと思います。

 

 資本の大きさとともに忘れてはならないのが、綿密なブランディングです。先に述べた通り、Murjani氏はブランド構築を専門とする会社の創業家一族です。会社経営をする上で、いかにそれが重要かは十分に認識していたはずで、ノウハウは大学卒業後に入った一家のグループ会社で学んでいるのです。

 

 では、具体的にどうやってブランド構築を行ったのか。

 

 分かりやすい例としてよく挙げられるのが、同業他社の模倣です。

 

 まず、茶葉を収めた缶のデザインや、その缶を天井まで届くように壁面いっぱいに並べた店内のレイアウトは、Bouqdib氏が勤めていたマリアージュ フレールと似ているようにも見えます。

  

 そして、TWGのブランド色であるクリーム色は、英国の老舗トワイニングが用いているイエローと重なってみえます。加えて言うと、トワイニングのアルファベット表記Twiningsは、偶然ながらThe Wellness Groupと同じく「T」「W」「G」の3文字を含んでいます。クリーム色のパッケージと、相通じるアルファベット表記から、英国王室御用達の高級なトワイニングのイメージを無意識的にTWGに重ねてしまう人は、かつて多くいたに違いないし、今もいるかもしれません。

 

 もう1つ重要なのが、TWGのブランドロゴに記載されている1837です。TWGの創業は2007年で、1837年ではありません。この数字は、シンガポールが建国後、茶の貿易を始めた年にあたるそうです。

 

 Bouqdib氏は「ミスリードを生むのではないか」というCNBCの取材に「われわれはシンガポールで茶の歴史を作っていきたい。そのために、この重要な年を忘れないために用いている」と答えています。屁理屈のようにも聞こえますが、メディアや消費者から多少なりとも批判の声が上がることは、もとより織り込み済みなのでしょう。それよりも、長い歴史を持っているというイメージを醸し出す方が重要だという判断が背景にあるのではないかと思います。

 

 ここまで見てきたように、TWGのブランディングはとても戦略的です。ただ、模倣に終始しているわけではないようです。Bouqdib氏は言います。「私はマリアージュ フレールという『コロニアルスタイル』(ここでは『伝統的な』という意味に近いと思います)の店で働いていました。対して、TWGでは、ティーを通じて、マリアージュ フレールとは異なるライフスタイルを提供したいのです。それはティーとファッション性をミックスすることです」

 

 なるほど、TWGはトータル的に見て、シンプルで無駄がなく、洗練された現代っぽさを感じさせます。どのようなものであれば広く世界に受けれられるか。それを考え抜いて、実践し、成功を収めたという点については、素直に賞賛されるべきでしょう。

 

リーマンショックにも動じず拡大路線

 

 ブランドコンセプトの構築とともに驚くべきものが、TWGが採ってきた拡大路線です。創業翌年の2008年、世界はリーマンショックに揺れました。世界的な景気の後退を鑑みれば、積極的な投資は控えて、手堅くいきたくなるのが普通の経営者というものでしょう。それでも、TWGは事業を拡大しました。

 

 リスクは考えなかったのか。Bouqdib氏はこう答えています。「そうした状況にあれば、人々はバッグなどの高級品の購入は控えるかもしれません。しかし、ティーは『affordable luxuary』(手ごろなぜいたく)です。ティーを通じて、人々はいろいろな関係を築けるのです」。つまりは、そうした金融危機にあっても、紅茶産業は大きな影響は受けないと見込み、勝負をかけたのです。

 

 TWGは2009年、海外で初となる店舗を東京・自由が丘に構えます。そして、DEAN & DELUCAやロンドンの高級デパート・ハロッズと取引するようになって知名度を高め、さまざまな国へ進出していきました。徹底した品質管理と、接客する店員の教育に力を注ぎ、それが評判を呼んで、急速に世界的なブランドへと成長を遂げていったのです。

 

偶然か必然か

 

 先に触れた通り、Murjani氏はパリのマリアージュ フレールのディスプレイに魅せられ、Bouqdib氏と出会ったとされています。それは果たして、語られている通りの偶然だったのでしょうか。それとも、Murjani氏には最初から起業のアイデアが頭にあって、ヘッドハンティングを視野にBouqdib氏に近づいたのでしょうか。はっきりしたことは分かりません。

 

 2人は互いに持っていないものを補い合いました。Murjani氏であれば、世界の紅茶市場に割って入れるという先見性やビジネスセンス、ブランド構築能力、そして豊富な資金力。Bouqdib氏に関して言えば、紅茶への深い知識や情熱といったところでしょう。能ある者同士が出会った結果、世にもまれなサクセスストーリーが誕生したのです。

  

 以下は、別のアフタヌーンティーおよびTWG関連の記事です。