書く書く しかじか

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三原堂 江戸川乱歩が愛したその味は

変わらぬ姿の薯蕷饅頭

池袋駅西口から徒歩1分、後半生を池袋で過ごした江戸川乱歩が愛したという和菓子店「三原堂」があります。旧江戸川乱歩邸を散歩した際には、ここも訪れてみてはいかがでしょうか。

のれんにある通り、三原堂の創業は昭和12(1937)年。乱歩が池袋に引っ越してきたのは、その3年前の昭和9年。ほぼ同じような時期に池袋の地に根を下ろしたことになります。

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1階は和菓子の販売スペース、2階が喫茶スペースになっています。2階に上がってみます。座席数は33。訪れたのは日曜日の午後1時ごろでしたが、席は多くが埋まっていました。年輩の方と同じくらい若者が多かったです。

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窓側の席から見た池袋の街。

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メニューです。しるこ、あんみつ、アイス、かき氷といった甘いものだけではなく、そうめん、お茶漬け、和風炒飯、親子丼など、昼食になりそうなものもあります。

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かき氷のメニュー。フルーツ系はどれも色鮮やかでおいしそうです。

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さてさて、迷いましたが、注文したのは3品。まずはクリームあんみつ。税込み850円。りんご、キウイ、バナナ、みかんなどフルーツがどっさり。アイスクリーム、求肥(ぎゅうひ)も付いています。黒蜜は奇をてらわないストレートな味です。

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注文2品目。お餅の和っふる。800円。そのネーミングで思わず選びました。見た目は確かにワッフル。ナイフで切ってフォークで食べます。表面は焼いた餅のようなパリッとした食感があります。内側に餅特有の粘りがあれば最高だと思うのですが、案外それは乏しかったです。この形状、この薄さで火を通すと、どうしてもそうなってしまうのでしょう。アイスクリームの味は、クリームあんみつと同じです。

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さて、最後の1品が薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)。これぞ、乱歩が最も好んでよく買いに来たというまんじゅうです。当時と変わらない形を守っているとか。喫茶スペースのメニューにこのまんじゅうはありませんが、1階で売っているので、店員さんに頼めば2階で食べることができます。薯蕷はヤマノイモのこと。これをすりおろしたものを指すこともあります。いわゆるとろろです。「しょよ」「じょよ」と読むこともあります。

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断面はこのような感じです。生地はヤマイモ、米粉、砂糖を合わせて作ってあるそうで、固すぎず、柔らかすぎず、ほどよい弾力が印象的。こしあんとよくマッチしていて、美味でした。古き良きシンプルな味わい、乱歩が愛したという和のテイストを楽しめました。1つ220円です。

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1階では原稿用紙を模したギフトボックス入りの薯蕷饅頭が1,000円で売られています。まんじゅうは4つ入っています。割り増しになっているのは箱代と「脱酸素包装」の手間賃ということでしょう。

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カフェが街中にあふれかえる中、こうした和の味を守り続ける老舗はとても貴重です。甘い洋風のケーキもいいですが、たまにはこうした日本の伝統を味わいに行ってみてはいかがでしょうか。

 

江戸川乱歩邸の見学記はこちら。

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