ロンドン五輪のスポンサーシップ 見事な棲み分け 東京2020これでいいのかvol.2
東京五輪のスポンサーシップは本当に特異なのか。2012年のロンドン五輪のスポンサーシップと比べてみることにします。
まずはIOCが契約するワールドワイドパートナー。2012年時点でのスポンサー企業です。
ワールドワイドオリンピックパートナー | ||
企業 | 国 | 業種 |
Coca Cola | アメリカ | 飲料 |
P&G | アメリカ | 日用消費財 |
Visa | アメリカ | 決済事業 |
GE | アメリカ | 重工・軍需など |
Dow Chemical | アメリカ | 化学品 |
McDonald's | アメリカ | ハンバーガー |
Panasonic | 日本 | 総合電機 |
Omega | スイス | 時計 |
Atos | フランス | ITコンサルタント |
Samsung | 韓国 | 総合家電 |
Acer | 台湾 | PC関連機器 |
東京五輪のワールドワイドパートナーとの違いは、マクドナルドとAcerが名を連ねているところです。パナソニックとサムスンはテレビ事業などで競合関係にあり、Acerとも事業が重複する部分はあるでしょう。その意味で、2012年時点でIOCは1業種1社の原則を事実上、捨てていたと言えると思います。
では、ロンドン五輪組織委員会が契約したスポンサー企業を見てみます。以下は、イギリスの大手紙ガーディアンがまとめたスポンサー一覧に、本社が所在する国と業種を加筆したものです。まずはワールドワイドパートナーに続くカテゴリーにあたるオリンピックパートナーから。
ロンドンオリンピックパートナー | ||
企業 | 国 | 業種 |
BP | イギリス | 石油 |
British Airways | イギリス | 航空 |
BT | イギリス | 電気通信 |
EDF | イギリス | ガス・発電 |
Lloyds TSB | イギリス | 銀行 |
Thomas Cook | イギリス | 旅行代理店 |
Cadbury | イギリス | 菓子・飲料 |
Cisco | アメリカ | ネットワーク機器 |
Deloitte | アメリカ | 会計 |
UPS | アメリカ | 貨物運送 |
Adidas | ドイツ | スポーツ用品 |
BMW | ドイツ | 自動車 |
Adecco | スイス | 人材サービス |
ArcelorMittal | ルクセンブルク | 鉄鋼 |
業種別に驚くほどきれいに棲み分けがなされているのが分かると思います。企業もイギリスに限定することなく、幅広く集まっています。
次に、オリンピックパートナーの下の階層にあたるプロバイダー&サプライヤーを見てみます。
ロンドンオリンピック プロバイダー&サプライヤー | ||
企業 | 国 | 業種 |
Aggreko | イギリス | 臨時電源 |
Airwave | イギリス | モバイル通信 |
Atkins | イギリス | エンジニアリング |
Freshfields Bruckhaus Deringer LLP |
イギリス | 国際法律事務所 |
G4S | イギリス | 警備保障 |
GlaxoSmithKline | イギリス | 製薬 |
Heathrow Airport | イギリス | 空港 |
Heineken UK | イギリス | ビール |
Holiday Inn | イギリス | ホテル |
John Lewis | イギリス | 百貨店 |
Next | イギリス | 衣料チェーン |
Rio Tinto | イギリス | 金属・鉱業 |
Thames Water | イギリス | 水供給 |
Trebor | イギリス | 製菓 |
McCann Worldgroup | アメリカ | マーケティングサービス |
Nature Valley | アメリカ | 健康食品 |
Nielsen | アメリカ | 市場調査 |
Populous | アメリカ | 建築 |
Rapiscan Systems | アメリカ | 金属探知機 |
Ticketmaster | アメリカ | チケット販売 |
The Boston Consulting Group |
アメリカ | 経営コンサルタント |
CBS Outdoor | アメリカ | 屋外広告 |
Eurostar | フランスなど | 鉄道 |
Gymnova | フランス | 体操器具 |
Mondo | イタリア | 陸上トラック舗装材 |
Technogym | イタリア | フィットネス器具 |
Westfield | オーストラリア | ショッピングモール |
Crystal CG | 中国 | ビジュアライゼーション |
こちらも、見事なまでに業種に関する重複が見られません。IOCが自ら骨抜きにしている1業種1社の原則を、ロンドン五輪組織委員会は堅持していたことが分かるかと思います。1業種1社にはメリット、デメリットの双方があるでしょうが、ロンドン五輪組織委はメリットが多いと判断したのでしょう。
では、具体的にどんなメリット、デメリットがあるのか考えてみます。
東京五輪 過去最高の国内スポンサー収入だけど… 東京2020これでいいのかvol.3
東京五輪スポンサーの相乗りの実態はvol.1
東京五輪スポンサー 「掟破り」の相乗り 東京2020これでいいのかvol.1