ドバイ ファウンテン 世界一の噴水 高さ150メートル 繊細にして豪快な水のダンス ドバイ旅行記 10
表現パターンは1,000以上
世界最大の噴水、ドバイ ファウンテンのショーを見ます。
その規模たるや、桁違いです。噴水が設置された人工池の広さは30エーカー(約12万1,400平方メートル=東京ドーム2.6個分)、水が達する高さは最大500フィート(約152メートル)、噴水全体で瞬間的に噴出できる水の総量は22,000ガロン(約83,280リットル)。水の表現パターンは1,000を超えます。総工費は8億ディルハム(AED、現在のレートで計算すると248億円)。設計と運営は、ロサンゼルスに本拠を置くWETという会社です。一体どれほどすごいのでしょうか。
ドバイ ファウンテンは、世界一高いビル・バージ カリファを囲む人工池の中に設けられています。ドバイ モールのLGフロア(地下1階)から外に出れば、すぐ目の前にあります。よって、ドバイ ファウンテン、ドバイ モール、ブルジュ ハリファ(バージ カリファ)は観光する上で、3点セットと考えていいでしょう。
ショーは夜間中心に1日14回
LGフロアの出入口から抜けると、このような景観です。目の前にドバイ ファウンテンがあります。
ショーは昼と夜に分かれています。昼は、土曜~木曜が午後1時、1時半、2時、金曜が1時半、2時、2時半。夜は、毎日午後6時にスタートし、11時まで30分ごとにショーが行われます。つまり、昼3回、夜11回で1日に計14回、ショーはあるということになります。
水を噴出するノズルは、5つの円と2つの曲線を組み合わせて構成されています(下のイメージ図。Wikipediaより)。全長は902フィート(約273メートル)。この複雑なデザインの噴出口から、優美な水の舞いが生まれます。
音に合わせた水の舞
われわれは、夜のショーを2度見ました。1度目は、ドバイ ファウンテンがある人工池のそばからです。
高層ビル群が借景となって、美しく噴水を彩ります。
水の動きは多様で多彩。そこに音と光が混じり合います。
砲撃のような爆音とともに、高く水が舞い上がります。半端ない迫力です。
噴出口から上がる水の高さは一様ではありません。下の写真のように、滑らかな曲線を描くように調整されています。豪快なだけでなく、精緻で華やかです。
動画です。
動画2。
2度目は別ポジション。アップルストアのフロア1(2階)にあるテラスから見ました。ここは、なかなかおすすめです。グラウンドレベルより角度があって見やすいですし、言うまでもなく、アップルの店内なので入場にお金はかかりません。ショーを見るために、多くの人がここに集まっていました。
アップルストアのテラスから見たバージ カリファ。
始まりました。
水の柱が高く伸びます。やはり、こちらの方が見やすいです。
動画です。
マイケル ジャクソンのスリラー採用
ドバイ ファウンテンで使われるのはどんな曲で、何曲くらいあるのでしょうか。
アブダビに本社を置く日刊紙The Nationalが2018年1月に配信した記事によると、ドバイ ファウンテンができた2009年5月からこれまでに、48曲ほどが選ばれているそうです。記事では現在使われている曲として、38曲を紹介しています。
最初のショーは必ず、ドバイ首長のシェイク・モハメドに敬意を表して作られた曲Sama Dubaiでスタートします。以後はランダムで、どの曲が登場するかは分かりません。
The Nationalが報じたリストを見てみると、実に多彩です。数曲挙げてみましょう。
- UAE国歌
- マイケル・ジャクソンのスリラー
- ホイットニー・ヒューストンのI Will Always Love You
- アンドレ・ボッチェリとサラ・ブライトマンのTime To Say Goodbye
- ライオネル・リッチーのAll Night Long
- ゲーム音楽で初めてグラミー賞を受賞したスワヒリ語のBaba Yetu
- プラハ交響楽団の演奏による映画マグニフィセント・セブンのテーマ
- 中国のバイオリニスト呂思清のバイオリン協奏曲
このように、ジャンルや国を問わず幅広く選ばれています。そのほか、地元UAE、レバノン、イランなど中東諸国の著名歌手の曲も多く選出されています。
選曲しているのは、噴水を管理するWETと、噴水の設置者である不動産開発デベロッパーのエマール プロパティーズです。記事では、どうやって曲を選んでいるのかについても触れています。
選曲にあたる両社が、最も大事にしているのは多様性。ドバイは世界中から多くの人々が集まってくる先進的な国際都市です。噴水ショーが、そうした人たちに感動をもたらすには、ジャンルや国境の枠を超えて、幅広い曲目を取りそろえなければなりません。互いに異なる文化や信条を超えて、相互理解の架け橋になることをドバイ ファウンテンで実現させようとしているのです。
また、曲調が軽くて安っぽいものは避けて、噴水の尊厳を損なわないことも意識しているとのことです。アメリカでかつて人気になった韓国人歌手PSYのカンナムスタイルは、採用の提案があったそうですが、「物笑いの種になる」との理由で担当責任者が拒否したそうです。
それでも、韓国からはEXOという男性グループのPowerという曲が採用曲のリストに入っています。先に触れた通り、中国人バイオリニストの曲も使われています。対して、日本の曲は、残念ながら選ばれていません。内向き志向が強いとされる日本人、そして日本の音楽業界の現実が、こうしたところにも表れているように感じます。あの優美で豪快なドバイ ファウンテンの水の舞いに、日本の曲が乗ってほしいと願うばかりです。
記事ではまた、水の振り付けを行う担当者が、これまでで最も苦労した曲として、マイケル・ジャクソンのスリラーを挙げています。その理由は、「世界中の人々が曲を知っているだけではなく、ゾンビが踊るあの有名なミュージックビデオを覚えているから」だそうです。担当者はミュージックビデオに敬意を表して、ドバイ ファウンテンの水の動きに採り入れたと言います。You Tubeにアップロードされている動画を見ましたが、確かに考え抜いた跡が随所にうかがえる出来映えでした。検索して観賞してみてはいかがでしょうか。
さて、ドバイ ファウンテンのショーを見終わったので、タクシーでアル カスルに戻ります。ドバイ モールのタクシー乗り場は、LGフロアとGフロアの北西側にあります。目印は、ダイブする人のオブジェを吊り下げた滝。この滝の裏から外に出たところがタクシー乗り場になっています。
翌日は、早朝に砂漠を4WD車で疾走するデザートサファリ、午後はバージ アル アラブでアフタヌーンティーを楽しみます。
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